部署間連携がうまくいかないときに見る5つのポイント
人・情報・確認・承認・転記の流れを見る。
この記事の要点
- 「部署間の連携が悪い」は結果であって、原因ではありません。どこで止まっているかを具体的にする必要があります。
- 見るのは、人・情報・確認・承認・転記の5つの流れです。
- AIやシステムを考えるのは、止まっている場所が具体的になってからです。全部をつなぎ直す必要はありません。
営業が受けた案件が、製造に伝わるまでに時間がかかる。経理に回るころには、内容が変わっている。誰がどこまで対応したかが分からず、確認の電話やチャットが増えていく。
部署間の連携がうまくいかない、という困りごとは、こうした形で現れます。ただ、「連携が悪い」という言葉のままでは、何を変えればいいかが見えません。この記事では、止まっている場所を具体的にするための5つのポイントを書きます。
ポイント1:人 — 誰から誰へ渡っているか
最初に見るのは、仕事が誰から誰へ渡っているかです。部署の名前ではなく、実際に受け渡しをしている人の単位で見ます。
「営業から製造へ」と言っても、実際には営業担当が製造の特定の一人に直接連絡していることがあります。その一人が不在の日に止まるなら、問題は部署と部署の間ではなく、その一人に仕事が集まっていることです。
確かめたいのは、渡す人と受け取る人が決まっているか、受け取る人が不在のときにどうなるか、です。
ポイント2:情報 — 何が、どの手段で渡っているか
次に、何が渡っているかを見ます。案件の内容、仕様、数量、期日、お客様の要望。それがメールなのか、Excelなのか、チャットなのか、口頭なのか。
手段が混ざっていると、情報は分かれます。仕様はメールにあり、数量の変更はチャットにあり、期日は口頭で伝わっている。受け取った側は、それを自分で一つにまとめ直すことになります。
確かめたいのは、一つの案件について、最新の情報がどこを見れば分かるか、です。答えが「人に聞けば分かる」なら、そこが止まる場所の候補です。
ポイント3:確認 — どこで問い合わせが発生しているか
「これ、どうなってる?」という確認のやりとりは、情報が届いていない場所の印です。
確認が一往復で済むなら、まだ軽い方です。確認した相手もまた別の人に確認していて、返事が戻るまで半日かかる、ということもあります。確認の連鎖は、外から見ると「連絡が多い」としか見えません。
確かめたいのは、誰が誰に、何を確認しているか、です。同じ確認が繰り返されている場所は、情報の置き場所を変えるだけで減らせることがあります。
ポイント4:承認 — 誰の判断を待っているか
部署をまたぐ仕事には、たいてい判断が挟まります。値引きしてよいか、納期を前倒ししてよいか、例外として扱ってよいか。
承認待ちで止まっているとき、問題は承認する人が遅いことだけとは限りません。判断に必要な材料がそろわないまま承認者に届き、差し戻されていることもあります。
確かめたいのは、誰が何を判断しているか、判断に何が必要か、です。承認そのものは人に残すべき判断であることが多い一方で、判断の材料をそろえる部分は支えられる可能性があります。
ポイント5:転記 — 同じ内容を何度入力しているか
メールの内容をExcelに入れる。Excelの内容を別のシステムに入れる。会議で決まったことを議事録に書き、それを各部署の管理表に写す。
転記は、一回ごとには小さな作業です。けれど、回数が増えるほど時間がかかり、写し間違いや写し漏れの入口にもなります。そして、写した先と元の内容が食い違ったとき、どちらが正しいかを確かめる確認が、また発生します。
確かめたいのは、同じ内容が何回、誰の手で入力されているか、です。
具体例:営業から製造へ、案件の情報が渡るまで
説明のための想定の場面です。営業がお客様から案件を受け、製造と経理が関わる流れを考えます。
5つのポイントで見ると、たとえば次のように整理できます。人は、営業担当から製造の主任へ直接。情報は、仕様がメールの本文に、数量がExcelの添付に。確認は、製造から営業へ「この数量で確定ですか」が毎回入る。承認は、特別な仕様のときだけ製造の責任者の判断待ち。転記は、製造が内容を自分たちの管理表にもう一度入れている。
こう並べると、「連携が悪い」の中身が見えてきます。数量がいつ確定したかを知る場所が決まっていないこと、同じ内容の転記が一回あること。手を付ける場所は、全体ではなく、まずこの二つかもしれません。
HillsJapanの考え方
部署間の連携を良くしようとすると、全社の仕組みを一度に作り直したくなることがあります。けれど、止まっている場所が具体的になる前に大きな仕組みを入れると、その仕組みに合わせるための新しい手間が増えることもあります。
HillsJapanは、業務の目的と運用に合わせ、必要な範囲のAI Agentや業務システムを設計・実装します。既存システムとの連携設計も、その範囲に含まれます。範囲を決める手がかりになるのは、5つのポイントで見えた止まる場所です。
承認のように人が判断すべき場所は、人の判断として残します。AIやシステムが支えるのは、判断の材料をそろえること、情報の置き場所を一つにすること、転記を減らすことといった、判断の手前の部分です。