電話対応をAIに任せるとき、最初に考えること

受付・要件整理・予約・通知・Human Handoff。

この記事の要点

  • 電話の自動応答だけでは、取りこぼしは減っても仕事は減りません。電話を、次の業務の入口として考えます。
  • 最初に考えるのは、受付・要件整理・予約・通知・人への引き継ぎ(Human Handoff)の5つです。これらは提供済みの機能の一覧ではなく、企業ごとに導入を検討するときに決める設計の項目です。
  • 金額、日程、条件など、責任を伴う判断は人が確認する。AIが勝手に約束しない形にします。

電話が鳴るたびに、手を止めて出る。出られなかった電話は、折り返しのリストに積まれる。担当者が不在なら、メモをとって伝える。そのメモの書き方が人によって違い、折り返す時点で用件が曖昧になっている。

電話対応をAIに任せたいと考えるとき、その手前には、こうした日々の負担があるはずです。

ただ、AIが電話に出て自然に話せることと、電話対応の仕事が楽になることは、同じではありません。

電話を「業務の入口」として考える

電話の自動応答だけなら、取りこぼしは減っても、仕事は減りません。受けた電話の要点が整理され、次の作業へ渡り、判断が必要なところは人に残る。そこまでできて初めて、電話は業務の入口になります。

だから、電話対応をAIに任せるときに最初に考えるのは、AIの声や話し方より先に、受けた電話をどこへつなぐかです。ここでは、受付・要件整理・予約・通知・人への引き継ぎの5つに分けて書きます。

ここに挙げる営業時間外の応答、予約、通知の方法などは、すでに用意された機能の一覧ではありません。企業ごとに導入を検討するときに一緒に決めていく設計の項目であり、文中の例はその検討のための想定です。

受付:どの電話に、いつ応答するか

すべての電話を最初からAIが受ける必要はありません。手が離せないとき、担当者が不在のとき、営業時間の外。これまで取れなかった電話に、まず応答がある状態を作るところから考えることもできます。

決めておきたいのは、どの時間帯、どの状況でAIが応答するか。そして、AIが受けていることを相手にどう伝えるかです。

要件整理:何を聞き取り、どう分けるか

電話の用件は、話す人の言葉でばらばらに届きます。AIに任せるなら、何を聞き取れば次の人が動けるかを先に決めます。名前、連絡先、用件の種類、急ぎかどうか、関係する案件。

そのうえで、聞き取った用件を分けます。急ぎのもの、担当者が要るもの、定型で返せるもの。分け方が決まっていれば、メモの書き方が人によって違う、という問題も起きにくくなります。

予約:日程を決めるのは誰か

電話の用件には、予約や来訪の日程が含まれることがあります。ここは注意が要る部分です。

日程の確定は、相手との約束です。希望の日時を聞き取る、候補を整理する、といった部分はAIが支えられるかもしれません。けれど、条件のある予約や例外の扱いまでAIが決めてしまうと、あとで人が守れない約束が生まれます。

予約を電話対応の範囲に入れるなら、AIが聞き取って整理する部分と、人が確認して確定する部分を、最初に分けておきます。

通知:誰に、どう伝えるか

AIが受けた電話の内容は、誰かに届かなければ意味がありません。誰に伝えるか、どの手段で伝えるか、急ぎのものはどう知らせるか。

伝え方が決まっていないと、AIが受けた用件は、確認されないまま積み上がります。電話を取りこぼさなくなった代わりに、伝言を取りこぼす、ということになりかねません。担当ごとの伝え先と、急ぎのときの扱いを決めておきます。

Human Handoff:どこで人に戻すか

電話対応で最も大切なのは、AIがどこで人に引き継ぐかを決めておくことです。

金額、日程、条件など、責任を伴う判断は人が確認してから進めます。AIが勝手に約束しない形にします。相手が担当者と話したいと言ったとき、AIの扱える範囲を超える内容だったとき、相手が困っている様子のときも、人へ戻します。

引き継ぐときは、それまでに聞き取った内容を整理して渡します。人が電話を受け直して、最初から聞き直すことにならないようにするためです。

具体例:担当者が外出しがちな会社の電話

説明のための想定の場面です。少人数の会社で、日中は担当者が外出していて、電話に出られないことが多いとします。

受付は、担当者が出られないときと営業時間外だけをAIが受ける。要件整理では、名前・連絡先・用件・急ぎかどうかを聞き取る。予約の希望があれば、希望の日時を聞き取るところまでにして、確定は担当者が折り返して行う。通知は、担当者が外出先でも確認できる手段で、急ぎのものから知らせる。AIが答えられない内容や、相手が担当者との会話を望む場合は、聞き取った内容をまとめて担当者に渡す。

こう決めておくと、AIが担うのは、電話を受けて整理し、伝えるところまでです。約束と判断は、担当者に残ります。

HillsJapanの考え方

HillsJapanは、電話を受け、用件を理解して整理し、必要な業務や担当へつなぐAI Agentとして、AI TEL Operator(AI電話受付)を研究開発しています。重要な判断は、Human Approvalとして人に戻す設計です。

AI TEL Operatorは、棚から出してそのまま入る汎用パッケージではありません。電話の受け方も、つなぐ先の業務も会社ごとに違うため、研究開発を続けながら、企業ごとの業務に合わせて個別に開発・導入支援を行っています。どこまでを任せ、どこから人が判断するかを一緒に決めるところから始めます。

この記事に書いた5つは、その「一緒に決める」ときに、最初に話す内容です。

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